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進捗報告&備忘録

『パンドラの匣』感想

パンドラの匣

パンドラの匣

 
正義と微笑

正義と微笑

 

太宰治パンドラの匣

「正義と微笑」と「パンドラの匣」の合冊。

蝶門の「パンドラの匣」を描いた直後くらいに「自作と同じタイトルの本がある」と古書店で見つけ、どうやら「明るく希望に満ちた」方の太宰治らしいので買ってみた。

実は太宰治は読んだことがなくて。『走れメロス』さえも読んだことない。『人間失格』は読んでみたい。

「明るく希望に満ちた」とは言い難い気もするけれど、他と比べたら明るく希望に満ちているのかもしれない。

 

思春期の青少年のうだつが上がらない叙述で、なんとなく『ライ麦畑でつかまえて』を思い出した。少年がもつ、青臭い理想と酸っぱい現実の乖離への幻滅が永遠と綴られている。

というか太宰治って戦後も生きてたんだ……。てっきり明治大正期の人間だと思っていた。日本の純文学を読むのは久しぶりで、最後に読んだのは、いつだったか。

 

裏のあらすじにあるように、たしかに「明るさ」のある作品だった。シニカルな明るさではあったけども。

でも言い回しというか文体というか、少し古いけれど、あまり錆びた感じはなかった。少しだけ古風だな、と思うところがあった。言語は生き物ってこういうことを言うんだと思う。

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