memorandum

進捗報告&備忘録

企画と叙述とカタルシス

要約: 蝶門を最後に、しばらく交流企画をお休みすることにしました。


楽しさもあったし、学んだことも多かった。

たくさんの作品に触れて、自分では決して作れない個性的なキャラクターや物語に巡り合って、創作の視野が広がったこと。
また、そこから様々な良き出会いがあったこと。

描くスピード(構成力やコマ割りの方法なども含む)が参加前より上がったこと。「期間が決まっている」=「〆切がある」という尻叩きもあって、企画ブートキャンプは手強かったけれど、とてもよい体験だった。
背景は…これから頑張るので……乞うご期待……。



個人的に企画で学んだ一番の事は「受け手」を意識すること。
キャラクター同士の交流、キャラクター同士の代理の戦い(?)ではあるけれど、動かしているのは「人」、画面の裏側には「人」がいる。
例えば、自分のキャラクターが別のキャラクターに「悪意」を向けたとして、それを気にしない受け手もいればそれを気にする受け手もいる。
だから、「戦闘」や「負の感情」などの描写をするにあたって、自分なりに気を付けたり、意識するようにはなった。それでも傷付けてしまったのなら・傷付けてしまっていたのなら、素直に反省して次に活かすしかないと思う。(だから自分は「完全な悪役・ゲスムーブ」をできないのもある、これは単純に中の人の主義の問題)

これはある意味「読者」を意識することにも繋がるのかな、と個人的には考えている。



企画に参加する前は、表現に気を付けつつも、あまりそういうことを意識することはあまりなかった。

「澤島はバッドエンドを書きがちだよね」と昔々に苦言を呈されたことがあって、その時はモヤ…としたけれど、裏返せば「もう少し、救いとか、カタルシスとか、そういう読み手が期待するものを意識した方がいいんじゃないのかな?」という回りくどいアドバイスだったのかもしれない。
「趣味の創作なんだから、勝手にやらせろ〜!」と当時は思ったのだけれど、2回ほど企画参加を経た今、「良い物語を描きたい」と思っている今、読者として「暗闇の末のほんの少しの光(つまりカタルシスであり、救い)」が好きな私との乖離が生じてしまうから、方向転換をすることにした。

実は、『約束の記憶 1943』がハッピーエンドのなったのは、その一言のおかげ。
当時は「そんじゃハッピーエンド描いてやるよ!見てろよ!!!」という反骨精神で描いたのだけれど、結果的に自分でも気に入った作品になった。読ませたら「澤島にしては珍しくハッピーエンドだね…」と言われ、「おまえおまえおまえーーー!!」とツッコミを入れそうになった。

企画立案の段階では、主人公は、ブラセロとしてではなく、30年代に不法移民として北へ向かい、国境であるリオ・グランデ川を泳いでいる途中に米国国境警備隊に射殺され、そして残された家族はそれを永遠と知らずに彼が帰る日を夢見て余生を過ごす……そういう話になる筈だった。実際、史実ではそういうケースもあった。
ので、今、続編の1968について、ネーム下書きが終わったにも関わらず、考え直している。まだ猶予はあるのでもう少しだけ考える事にする。



映画や小説などのバッドエンドやメリーバッドエンドは、私は嫌いではないけれど(しょんぼりしながら受け入れはする)、何度も観たくなる・読みたくなるような気はあまりしない……。ある意味トラウマになってしまうのだと思う。
例えば『父親たちの星条旗』や『沈黙』、『縞模様のパジャマの少年』なんかは、あまりにもショックすぎて、もう一度観ようと思うとしんどくなってしまう。
でも、『ペドロ・パラモ』や『燃える平原』は再読できたんだよな…どうしてだろう。再読が原文でなくて邦訳だったから、「新しい」体験だったのもあるのか…? わからない……。
それかただ単に度合の問題なのか…。



「読者を意識すること」をたくさん学んだので、少し身を引いて、創作でそれを深く試してみたい、と思ったのが、企画をお休みする一つの理由。
もちろん、それだけでなく、企画でキャラクターを動かす画面の向こう側の人を意識しすぎて胃がキリキリする時があったのもあるし、もしかしたら気を付けていても無意識のうちに傷付けてしまうかもしれない、という自分に対する恐怖心もある。

そういうわけで、オフの都合もあり、ガッツリ企画参加は以降しばらくの間はお休み。
嫌いになったわけじゃないのでご安心を。
過去に参加した企画は今でも大好きだし、もし、また何か興味を引くものがあったら、ガッツリ参加はできずともキャラシ地蔵くらいは出すかもしれない。
とかなんとか言っておいて、ガチ参加してたら笑ってしまうんだけども。

今は無性に創作をやりたい。
あと『1968』原稿に関しては絶対に今年出さねばならないという謎の使命感があるので……。一年に一冊出してきたのでブランクを空けるわけにはいかない…。
三枚下ろしになりながら、なんとかやり遂げてみせます。

(c) 2017-2020 Yoe Sawashima